王司干潟改良グループ・矢儀代表WEB版ロングインタビュー

継続は力なりーーアサリ復活への挑戦

下関市王司地区に広がる干潟。この地でかつて豊富に採れていたアサリを取り戻すために、地元の漁業者たちが立ち上がりました。その中心人物が、王司干潟改良グループの矢儀代表です。援むすび山口とトライアングルのコラボ企画として、彼の長年の取り組みについて話を伺いました。

干潟を守る使命

「平成21年に立ち上げたこのグループは、アサリが激減したことをきっかけに始まりました。昭和の時代には、王司の干潟には観光バスが並び、アサリを採る人々で賑わっていたんです。しかし、温暖化の影響で水温が上昇し、アサリの生息環境が厳しくなった。さらに、天敵であるツメタ貝などの捕食貝の影響も大きく、アサリの資源は壊滅的な状況に陥りました。」

この状況を改善するため、矢儀代表は地元の仲間とともに干潟改良に取り組むことを決意。農業用トラクターを改良し、干潟の表面をひっくり返すことで酸素を供給する方法を考案しました。

「これが日本全国初の試みでした。酸素を供給することで、アサリが生きやすい環境を作れるのではないかと考えたんです。」

しかし、10年以上が経過した現在でも、完全な回復には至っていません。

「温暖化が進むスピードが速すぎる。私たちが改良を施しても、それを上回る変化が起きているんです。」

子どもたちへの環境教育

王司干潟改良グループの活動のもう一つの柱が子どもたちへの環境教育です。

「小学校の授業の一環として、干潟の生態系やアサリの生育環境について教えています。5年生を対象に、実際に干潟に出てツメタ貝の駆除を行うプログラムも実施しました。子どもたちは『美味しいアサリを守るために頑張る！』と一生懸命取り組んでくれています。」

矢儀代表はこう続けます。

「環境保全は、一代でどうにかなるものではない。未来の世代に干潟の大切さを伝えていくことが、私たちの責任だと思っています。」

地域に根ざした水産資源の保全

矢儀代表がもう一つ力を入れているのが、地元の海産物の魅力を発信すること。

「王司のアサリは、身がふっくらとして甘みが強く、出汁の旨味が非常に濃いのが特徴です。特に砂抜きがしっかりされており、調理しやすいと評判です。温暖化の影響を受けながらも、私たちの努力で少しずつ復活の兆しが見えてきています。」

「また、王司のガザミ（ワタリガニ）は絶品です。北海道のカニと比べても、身がしっとりしていて甘みが強い。だけど、流通量が少ないから全国的にはあまり知られていないんですよ。」

王司産ガザミ（ワタリガニ）の特徴

• 濃厚なカニ味噌：ガザミの味噌は特に濃厚で、茹でるとクリーミーな味わいになる。
• 甘みの強い身：脱皮直後のガザミは特に身が柔らかく、上品な甘みが際立つ。
• 地元限定の美味しさ：市場流通が少なく、地元でしか味わえない希少なガニ。
• シンプルな調理が最適：茹でガニ、味噌汁、カニ鍋などで素材の旨味を最大限に活かせる。

王司産アサリの特徴

• 濃厚な旨味と甘み：王司のアサリは潮流の影響を受けた環境で育ち、出汁のコクが深い。
• ふっくらした身質：粒が大きめで、焼きアサリや酒蒸しにするとその味が際立つ。
• 安全で清潔な砂抜き：干潟の環境整備により、購入後の砂抜きがしやすい。
• 季節による変化：冬場は身が締まり、夏場は甘みが増す。

王司漁協では、毎週金曜日の朝に新鮮なガザミなどを販売しています。

「ただし数量限定なので、早い者勝ちですよ。市場にはほとんど出回らないから、知っている人はわざわざ買いに来るんです。」

継続は力なり

矢儀代表は、「継続は力なり」という言葉を大切にしています。

「環境は一朝一夕には変わらない。結果を求めるよりも、続けることに意味がある。これからも仲間たちと力を合わせて、アサリが豊富に採れる干潟を取り戻したい。」

現在、行政や地元企業と連携しながら、さらなる研究と改良を進めています。

「干潟の保全活動は、私たちだけのものじゃない。地域全体の財産なんです。」

おわりに

王司干潟改良グループの活動は、単なる漁業の問題ではなく、地域全体の持続可能な未来を守るための挑戦だ。矢儀代表の熱意と行動力が、多くの人々に影響を与えています。

「アサリが戻ったとき、また子どもたちが潮干狩りを楽しめるようになったら、最高ですね。」

その日が訪れることを願いながら、王司干潟改良グループの皆さんの挑戦はこれからも続いていく。

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援むすび山口ぶっちゃけインタビュー！矢儀代表の山口愛を教えて下さい

Q1. 好きな農林水産物、特産品、加工品は？

答え: 好きな農林水産物は「あさり」と「ガザミ（渡り蟹）」。 特にここで獲れるあさりは、かつては観光バスが並ぶほどの名物だった。味が濃くて出汁がよく出るのが特徴。 加工品では「塩辛」が大好きで、地元の漁協で販売されているものをよく食べる。 また、味噌もここの地元産が最高。漁協で売られている味噌を愛用。

Q2. 想い出のソウルフード（お店）は何ですか？

答え: 「天六食堂」のうどんがソウルフード。小さい頃から食べていた。 ワンコインで肉と卵が入ったうどんが食べられる。 安倍昭恵さんもここを訪れることがある。

Q3. 好きな料理は何ですか？

答え: 「ガザミの味噌汁」 ガザミは味が濃く、出汁が絶品。身もしっかりしていて、北海道の蟹とは違ったしっとりとした食感。 蒸すとより甘みが増す。 また、「あさりご飯」もオススメ。潮の香りがするご飯は最高。

Q4. おすすめ観光スポットはどこですか？

答え: 「王司の海」 生まれ育った場所で、朝日や夕日が美しい。 漁業をやる身として、毎日見る海が最高の景色。 また、道の駅巡りも好きで、特に「阿武町の道の駅」がお気に入り。

Q5. 矢儀代表の素顔の一面を教えて下さい

答え: 実は犬が大好き。特に保護犬を飼っていて、3代目の「ランちゃん」は兵庫県から引き取った。 また、温泉も好きで、旅行がてら温泉巡りを楽しんでいる。 趣味は「海」。海がすべて。

Q6. 最後に山口県民の良いところを教えて下さい

答え: 「団結力が強い」 山口県民は結束力があり、ひとたびまとまれば力を発揮する。 ただし、言葉が荒いところがあるので、初めて来た人は驚くかも。 また、慎重で保守的な一面もあるが、それが長州気質の良さでもある。

援むすび山口 中村店長の目
◎潮干狩りをずっと愉しめるように、私たちの心がけやマナーなどあれば教えて下さい

潮干狩りを楽しむためには、自然を大切にする意識とマナーが重要です。特に、ゴミを出さない、適切に分別して処理することが基本です。子どもたちが清掃活動を行う姿を見ることで、大人も意識を高めることができます。しかし、現状では一部の人がゴミを無責任に捨てることがあり、マナーの低下が懸念されています。自分の家の前にゴミを捨てられたらどう思うかを考え、他人任せにせず、一人ひとりが責任を持つことが大切です。

インタビューを終えて

矢儀代表の話を聞いて、山口県の漁業の現状、地元の味、そして団結力の強さを改めて感じました。 普段見えない漁師の世界や、海の環境を守るための活動にも力を入れていることがよく分かりました。 これからも地元の海と食文化を支えていく姿勢が印象的でした！

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