~わかむすめ × セントコア山口 増本料理長の一夜限りのマリアージュ~



「料理は、土地の恵みを噛みしめるもの」 この言葉が、会場の空気をそっと包み込んだ夜でした。 3月某日、山口市のセントコア山口にて開催された一夜限りのスピンオフ企画。 主役は、山口市徳地の酒蔵「新谷酒造」と、地元食材を知り尽くす料理人・増本総料理長。 “わかむすめ”の華やかな日本酒と、“山口の四季と物語”を一皿に込めた料理が、見事なマリアージュを奏でました。




■ 蔵元の情熱:「わかむすめ」に込めた想い 「米、水、米麴のみで造る濃醇旨口の酒、それがわかむすめです」と語ったのは、女性杜氏として全国的にも注目される新谷文子さん。 蔵を継ぎ、酒造りを学び、立ち上げたブランド「わかむすめ」。 この日提供されたのは、丹精込めてつくったお酒、受賞歴を持つ特別な銘柄。 たとえば乾杯酒として登場した『わかむすめ 燕子花 (かきつばた) (斗瓶囲い (とびんかこい) )』は、華やかで上品な香りが口いっぱいに広がり、まさに“会の幕開けにふさわしい一杯”でした。




■ 料理長の誇り:春を食べ、地元を味わう 「春は食材の端境期。だからこそ、料理人の腕が問われます」 そう語る増本総料理長は、当日朝まで市場に通い、真鯛を買い付けてきたとのこと。 お刺身には、周防大島の塩職人と共に仕上げた“私の塩”を使用。 そして、真鯛のポワレに合わせたのは『わかむすめ薄花桜 (うすはなざくら)( 生酒 (なまざけ) )』 香ばしく焼き上げた鯛に、“わかむすめの酒粕”を用いたソースがふんわりと寄り添い、ゲストの表情も自然と和らぐ瞬間となりました。




■ 循環する恵み:酒粕が繋ぐ「地球との共生」 「悲しいかな酒粕って、産業廃棄物扱いなんです」 と増本料理長が語り始めました…. けれど新谷酒造の酒粕は違います。
畑の肥料に、牛の飼料に、魚の餌に…….
この“地産地消のその先”、つまり“地球との共生”にまで想いを馳せた酒造りは、まさに地域の宝です。
その酒粕を使ったデザート『わかむすめパウンドケーキ』には、5日間の寝かせと二度焼きという手間がかけられ、甘さ控えめながら奥行きのある味わいが最後の一皿を優しく締めくくりました。




■ 五感に残る夜:料理と酒、そして人の物語 この夜、ゲストの五感をやさしく刺激したのは、料理の美味しさだけではありませんでした。
それぞれの皿に添えられたお酒、作り手たちの想い、語られた言葉….. すべてが一体となり、まるで“ひとつの物語”のように流れていたのです。




『わかむすめ 燕子花 (かきつばた) (斗瓶囲い(とびんかこい)) 』でこの会の幕を開け。 華やかで気品ある香りが口いっぱいに広がり、乾杯の一杯としてふさわしい、華麗なスタートを切りました。
前菜では、『 わかむすめ 牡丹 (ぼたん) (中取り (なかどり)) 』とともに、そら豆の卯の花和えや湯葉の山椒和え、若芽豆腐、蛸の旨煮など、山口の春を感じる小皿が並びました。

山椒のスパイシーさと牡丹のシュワっとした爽やかな中取りが絶妙に調和し、料理の個性を際立たせていました。 お造りと小鍋には、『 わかむすめ 牡丹 (ぼたん) (生酒 (なまざけ)) 』を。
真鯛の旨味と西京和牛のすき焼き、それぞれの濃厚な味わいを引き立てながら、酒のふくよかな香りとコクが寄り添います。 魚料理では、秋穂産真鯛のポワレに、春限定の「わかむすめ 薄花桜 (うすはなざくら) (生酒 (なまざけ))」が添えられました。



この酒の酒粕を使った特製ソースと、春の果実を思わせる香りが、料理と見事なマリアージュを奏で、会場の空気をふわりと和ませました。



続く蒸物の新緑茶碗蒸し、揚物の穴子の磯辺揚げには、『 わかむすめ 瑠璃唐草 (るりからくさ) (うすにごり) 』を合わせました。 繊細ながらも香り立つこの酒が、揚げ物の熱と旨味にそっと寄り添い、優しい余韻を残します。



メインディッシュは、西京和牛のイチボにシャリアピンソースを添えた肉料理。 合わせた『 わかむすめ 瑠璃唐草 (るりからくさ) (中取り (なかどり))』のさっぱりとした酸味が、肉の脂を軽やかに洗い流し、口中をリセットしてくれました。




そして終幕を飾ったのは、『 わかむすめ 燕子花 (かきつばた) (火入れ) 』を炭酸で割ったカクテルとともにいただく酒粕パウンドケーキ。 パウンドケーキは、5日間寝かせて焼き上げられたもので、酒粕の芳醇な香りと炭酸の清涼感が、口の中に爽やかな余白を残しながら、夜の物語を静かに締めくくってくれました。

この夜の一皿一皿と一杯一杯が、記憶となって心に残る。 料理と酒のマリアージュに、人の手と想いが加わることで、“地産地消”は単なる消費ではなく、文化として五感に届く体験へと昇華していたのです。
それぞれの料理が、わかむすめと“寄り添い” “響き合い” “記憶になる”。
まさにこの夜、「わかむすめ」はただの日本酒ではなく、山口の記憶を運ぶ存在となりました。
③言葉と表現でつなぐ、山口市の“風土力” につづく
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