「ウラむすび(地産地消・身土不二プロデュース術)」Vol.8
援むすび山口 編集長/地産地消プロデューサー(語り手)
山陽小野田市のおのだサンパークで開催していた「やまぐち援むすびまつり」の会場に、藤田市長がプライベートで足を運び、自作CDを届けてくださいました。
実はこれは、突然の出来事ではありません。
以前の市長リレーインタビューの際、「CDが完成したらぜひ聴かせてください」と私たちがお願いしていました。その言葉を覚えていてくださり、完成後わざわざ会場まで持ってきてくださったのです。
市長という立場にありながら、約束をきちんと覚え、行動で応える。その誠実さこそ、藤田市長の人柄だと感じました。
しかもナンバリング入りで、私と中村店長それぞれに一枚ずつ。
形式ではなく、想いとして届けてくださったことが伝わります。
藤田市長は中学生の頃から洋楽を愛し続け、現在も作詞作曲を続けておられます。今回完成した「Beat!」は2年をかけて制作され、66歳の誕生日に完成したとのことでした。その節目に、自身の言葉とメロディを形にしたこと自体に、強い覚悟を感じます。
市長という重責を担いながらも、創作をやめない。
それは単なる趣味ではなく、人生を表現する姿勢なのだと思います。

01. Beat! – Rock Version
曲が始まった瞬間、まず感じたのは“推進力”でした。
音が前へ前へと進み、聴く側の背中を自然と押してくる感覚があります。勢いに任せた力強さではなく、きちんと設計された前進です。
この楽曲の中心にあるのは、藤田市長が自ら書いた言葉と旋律です。言葉は決して難解ではありません。しかし、その簡潔さの中に強い意思が宿っています。
Beat! My heart lasts forever
Beat! My dream lasts forever
繰り返されるこのフレーズは、単なるキャッチーなサビではありません。聴く人の内側にある“続いていくもの”を呼び覚ます構造になっています。言葉を重ねることで、意味を深くしていく。その書き方に、長く音楽に向き合ってきた人の感覚を感じました。
そしてその言葉を立体的にしているのが、水本諭さんの存在です。
透明感のある声質でありながら、芯に力がある。言葉を強く押し出しすぎず、それでいて曖昧にもさせない。そのバランスが、楽曲の世界観をより広げています。
原曲が持つ直線的な力を保ちながら、音楽としての完成度を高める。その役割を水本さんが丁寧に担っていると感じました。
02. Beat! – Acoustic Version
アコースティック・バージョンになると、印象は大きく変わります。
音数が減ることで、旋律と歌詞の輪郭がより明確になります。ロック版が前へ進むエネルギーだとすれば、こちらは内側へ沁み込む温度です。
藤田市長が紡いだ言葉が、より直接的に届きます。装飾が少ない分、旋律そのものの強さ、構成の確かさがそのまま表に出ます。
水本諭さんのボーカルも、こちらではより繊細な表情を見せています。声の強弱や息遣いが、言葉の意味を静かに支えています。同じ楽曲でありながら、まったく異なる表情を持つことができる。それは、土台がしっかりしている証拠です。
03. Beat! – Demo Version / Spunky
デモ・バージョンは、この曲の原点です。
鍵盤の音が中心となり、装飾を削ぎ落とした構成になっています。完成形を知ったうえで聴くと、楽曲の骨組みがはっきりと見えてきます。
ここには肩書きも演出もありません。
作曲者として、ただ音と向き合う姿勢だけが残っています。
長い時間をかけて言葉を選び、旋律を整え、構造を組み立ててきたことが伝わります。衝動だけではなく、熟考の跡があります。
完成版ではエネルギーとして響いていたフレーズも、このデモではより個人的な宣言のように聴こえます。強さというより、確信に近い響きです。
作詞作曲という姿勢
楽曲の完成度だけでなく、創作に向き合う姿勢そのものに心を動かされました。
公務という重責を担いながら、自ら言葉を書き、旋律を生み出し、形にする。その過程は簡単ではありません。途中で妥協することもできたはずです。それでも作品として仕上げ、番号を付け、一枚一枚届ける。
その行為自体がメッセージです。
「Beat!」は、ただの楽曲ではありません。
継続してきた時間と、音楽への敬意が形になったビートだと感じました。
今日あらためて聴いてみて、強くそう思いました。

音楽とまちづくり
藤田市長は「音楽は人をつなぎ、まちを明るくする」と語られます。
インタビューの際にも、その言葉はとても自然でした。飾らず、穏やかで、しかし芯がある。その人柄がそのまま音楽にも表れているように感じます。
66年という人生の風土の中から生まれたビート。
それは、その人だからこそ生まれる音です。
身土不二とは、その土地、その人、その時間の中で育まれたものが最も自然であるという思想です。音楽もまた、その人の人生という風土から生まれるものなのかもしれません。
あの日、会場に届けられたのは一枚のCDでした。
しかし私が受け取ったのは、約束を大切にする誠実さと、夢を持ち続ける66歳のロック魂でした。
それをこうして言葉にすることもまた、むすびの一つだと思っています。
藤田市長、ありがとうございました。