はじめに|秋吉台の風に包まれて

山口県のほぼ中央、日本最大級のカルスト台地「秋吉台」が広がるまち、美祢市。
12月13日、新庁舎の応接室で迎えてくださった篠田洋司市長は、落ち着いた笑顔と温かな声で私たちを迎えてくれました。

今回の訪問は、『援むすび山口』地産地消リレーの一環。花田町長からバトンを受け、美祢市の魅力と未来、そして篠田市長の人柄に迫りました。(取材日:2025年12月13日)

美祢市・篠田洋司市長


美祢市の代表的な特産品や農産物・観光スポットは?

美祢市は、日本最大級のカルスト台地「秋吉台」、日本屈指の大鍾乳洞「秋芳洞」をはじめ、四季折々の魅力を持つ豊かな自然環境に恵まれています。さらに、日本名水百選に選ばれた「別府弁天池」、国の天然記念物「景清洞」や「大正洞」、秋吉台サファリランドや秋吉台国際芸術村など、自然・観光・文化が融合した観光スポットが数多く存在します。

篠田市長は、美祢市の宝物として「秋芳梨・美東ごぼう・厚保くり」の三大特産品を挙げます。

  • 秋芳梨
     カルスト台地特有の水はけの良い土壌と昼夜の寒暖差、そして長年にわたる石灰分の恵みが、糖度が高くみずみずしい果実を育みます。その食感はシャリシャリとして爽やかで、首都圏の高級果物店でも高い評価を得ています。
  • 美東ごぼう
     美東地域の赤土の土壌で育つため、肉質が柔らかく香り豊か。地元ではごぼう天やきんぴら、ごぼううどんなど、日常の食卓にも頻繁に登場します。収穫時期は11月〜12月で、新鮮なごぼうの香りが冬の訪れを告げます。
  • 厚保くり
     厚保地域特産の「厚保くり」は、大粒で甘みが強く、かつては日本一の高値を記録したこともある逸品。栗ご飯やモンブランケーキの材料としても人気で、9月〜10月には観光農園での栗拾いが楽しめます。

これらの特産品は単なる農産物ではなく、美祢市の気候・地形・土壌、そして生産者のこだわりと技術の結晶です。市長は「美祢の特産品は、自然環境と人の技が作り出す“物語のある味”です」と語ります。

美祢市・篠田洋司市長


地産地消をどう活かして、自然や文化を守りながら魅力を広げる?

篠田市長が描く美祢市の未来像は、豊かな自然環境や文化を守りながら地域振興、観光活用を同時に進める持続可能なまちづくりです。その象徴的な取組が、現在進行中のユネスコ世界ジオパーク認定に向けたプロジェクトです。

ユネスコ世界ジオパークは、国際的に価値のある自然遺産を保護し、教育・観光・地域経済の活性化に結びつける国際的な制度です。美祢市は2024年10月に国内推薦が決定し、2025年夏に現地審査、2026年春には認定の可否が発表されます。国内推薦は全国でわずか11例目であり、美祢市の自然資源が国内外から高く評価されている証しです。

「自然は守るだけでなく、活かしてこそ価値が高まります。ジオパークを通じて、美祢の自然や文化を次世代に伝えるだけでなく、訪れた人々にも深く体験してもらいたい」と市長は力強く語ります。

この考え方は地産地消にも直結します。地元で生まれた農産物や特産品を市民が日常的に食べ、観光客がその土地ならではの味を楽しむことで、経済が循環し、自然や文化を守る力が生まれます。さらに教育の場では、子どもたちが地元の農家や生産者から直接学び、「自分たちのまちの価値」を肌で感じる機会を増やしています。また、地元美祢で生まれた価値を地元にとどまらず外へと発信していくことも大切です。

例えば、梶岡牧場の二代目は、父から事業を引き継ぎ、こだわり抜いた飼育方法とブランディングで新たな市場を切り拓きました。ふるさと納税の返礼品としても人気で、美祢市の畜産ブランドを全国へと広げています。

篠田市長は、「地産地消は食材の話にとどまらず、地域の誇りや人と人とのつながりを未来へ引き継ぐ仕組みです」と締めくくりました。


女性が活躍するまちへ

篠田市長が強く意識しているテーマのひとつが「女性の活躍」です。
「女性が元気なまちは、必ず未来も元気になる」と市長は言い切ります。この言葉には、これまで市長自身が地域の現場で見てきた経験と、未来を担う世代への確かな期待が込められています。

美祢市には、その言葉を体現する女性たちがいます。例えば、プチラボベーカリーのオーナーは、市外から嫁いできた後に自ら一から店舗を立ち上げました。国産小麦や地元の農産物を活かしたパンは、素材の味わいがしっかりと感じられる逸品で、地元の人々だけでなく観光客にも愛されています。市長は「彼女のような挑戦する女性が増えることは、地域全体の活性化につながる」と評価します。

他にも美祢市では女性が活躍しやすい社会環境づくりにも力を入れています。
子育て世代を支える制度や、女性起業家への情報提供、地産地消イベントでの出店機会の拡大など、女性が自分らしい働き方を選びやすくするためのサポートが着実に整備されています。

市長はこうも語ります。
「地域を支えてきたのは、いつの時代も女性です。家業を守り、地域の文化や食を継承し、子どもたちを育てながら、新しい価値を生み出してきた。これからはそうした女性たちがより輝ける環境を整えるのが行政の役割です」

美祢市の未来像は、住民同士が互いの力を尊重し合いながら築く、しなやかで強いまち。その中心には、地元で働き、暮らし、挑戦を続ける女性たちの姿があります。

美祢市・篠田洋司市長


援むすび山口 ぶっちゃけインタビュー!篠田市長の山口愛を教えてください


Q1. 個人的に好きな農林水産物、特産品、加工品は?

「やっぱり、梨・栗・ごぼうですね」と即答された篠田市長。
美祢市の秋芳梨はシャリシャリとした食感と甘みが特徴、美東ごぼうは柔らかく香り高く、厚保くりは大粒で甘さが際立つ――いずれも市長が誇りを持って勧める逸品です。

さらに市長は、「小田巻製麺所の柔らかいうどんも、昔から地元で愛されているソウルフード。年配の方でも食べやすく、病気のときにも優しい」と語ります。地域の味を知り尽くした市長らしいコメントに、美祢市への愛着がにじみます。


Q2. 心に残る想い出のソウルフードの“お店”と“好きなメニュー”は?

学生時代、クラブ活動の帰りによく飲んだ地元大橋飲料の「トッピー」。いちご味の甘いジュースは、当時の若者にとって特別な一杯だったと言います。
「今はもうないけれど、あの味は忘れられません」と笑顔で回想される市長の表情から、ふるさとの原風景が浮かびます。


Q3. おすすめ観光スポットは?

市長が挙げたのは「万倉の大岩郷」。
大学時代に映画の舞台として使われた思い出の場所で、珍しい地形と歴史的背景を併せ持つ隠れた名所です。
「観光地としては秋吉台や秋芳洞が有名ですが、大岩郷のように知る人ぞ知るスポットにも魅力が詰まっています」と市長。地域全体を見渡す視点に、美祢市をまるごと楽しんでほしいという思いが感じられます。


Q4. 市長の素顔の一面を教えてください

実は篠田市長、野球とソフトボールの経験者で、全国大会出場経験もあるスポーツマン。今も公認審判資格を持ち、年に一度はユニフォーム姿でグラウンドに立つそうです。
「判定を間違えると票に響くかもしれませんが(笑)、スポーツを通じて地域と関わる時間はかけがえのないものです」と、市長は飾らない笑顔で話してくれました。


援むすび山口 中村店長の目


最近、カメラを趣味として始めたのですが、美祢市のフォトスポットを教えてください

「美祢の桜ですね」と即答された市長。
ライトアップ期間中は県内外からも多くの人が訪れるほどの人気で、夜桜と祭りのにぎわいが一体となった風景は、まさに“美祢らしい”光景です。
「春の桜はもちろん、秋の紅葉や冬の雪景色も写真映えします。四季折々の美祢をぜひ切り取ってほしい」と、市長はカメラ片手の来訪を歓迎してくれました。


■ 援むすび山口の地産地消プロデューサーとしてのまとめ(編集後記)

今回の取材を通して強く感じたのは、篠田洋司市長が持つ「ぶれない軸」と「行動の速さ」です。
市長の言葉には、数字や実績の裏付けと同時に、現場を見てきた人間だからこその温度があります。ユネスコ世界ジオパーク認定への挑戦、公設塾「mineto」の教育モデル、みね健幸百寿プロジェクト、そしてデジタル技術を活用したまちづくり──どれも机上の計画ではなく、市民とともに動き、形にしていくプロセスが伴っています。

篠田市長の行動力は、単にスピードが速いというだけではありません。
秋芳梨・美東ごぼう・厚保くりといった特産品を語るときは、生産者一人ひとりの努力や地域の歴史的背景までを熱く語り、その場で次の活用アイデアを口にする。観光や教育の話になると、世界とつながるビジョンを描きながら、地域の子どもたちの笑顔を真っ先に思い浮かべる。その視線は常に「現場」と「未来」を同時に見据えています。

そして、何よりも印象的だったのは「人を活かす視点」です。
女性や、未来を担う世代が活躍するまちづくりにおいても、プチラボベーカリーや梶岡牧場のような事例を挙げ、地域住民の挑戦や努力を誇らしげに紹介する姿は、市長自身が地域の“応援団長”であることを示しています。誰かが動き出せば、その背中を押し、周囲を巻き込みながら道を広げていく──それが篠田市長のスタイルです。

地産地消の本質は、地元で生まれた価値を地元で育み、さらに外へと広げていく循環にあります。篠田市長はその循環を、食や観光だけでなく、教育・健康・デジタル・人材育成といった幅広い分野に落とし込み、実際に動かしています。

美祢市がユネスコ世界ジオパークとして名を刻む日、その裏側には市民と共に汗をかき、声を聞き、挑戦をやめないリーダーの姿があります。
援むすび山口としても、このバトンを確実につなぎながら、山口県の“ひと・モノ・コト”をもっと広く、もっと深くむすび続けていきたいと思います。

美祢市・篠田洋司市長

美祢市・篠田洋司市長


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◎ 梶岡牧場・FIRE HILL(ファイヤーヒル)
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