取材日:2026年6月17日
聞き手/ヤスベェ応援団長(大谷泰彦さん)
取材・文・撮影/援むすび山口編集長・地産地消プロデューサー 重村光寛

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

①援むすび山口地産地消インタビュー! 

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

花咲く海の町で出会った、熱くてやさしい親分肌の町長

今回、ヤスベェ応援団長が訪ねたのは、山口県南東部、瀬戸内海に面した上関町です。

迎えてくださったのは、上関町の西哲夫町長。

町長室に入った瞬間、まず感じたのは、西町長の圧倒的なエネルギーでした。
年齢を感じさせない声の張り、笑顔、そして話し始めた瞬間に伝わってくる“町への想い”。

ヤスベェ応援団長が「上関らしさとは何でしょうか」と尋ねると、西町長はまず「風光明媚」という言葉を挙げました。そして、自然が豊かで、気候が温暖で、海の幸・山の幸に恵まれた町だと語ります。新鮮でおいしいものがいただけることも、上関町の大きな魅力だと話してくださいました。

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー


「花咲く海の町上関」に込められた、癒しのまちづくり

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

上関町のキャッチフレーズは、「花咲く海の町上関」。

ヤスベェ応援団長が、この言葉に込められた想いを尋ねると、西町長は、海のそばに花が咲いている風景が、町民だけでなく訪れる人の心を和ませ、癒してくれるのではないかと話します。

単に花が咲いている町という意味だけではなく、そこには「みんなが癒され、楽しみ、心豊かに暮らせる町であってほしい」という願いが重なっていました。

なかでも西町長がぜひ見てほしいと語ったのが、上盛山からの眺望です。

晴れた日には、東に四国の石鎚山、南に四国方面、西に九州方面まで見渡せるという360度の大パノラマ。そして、2月中旬から咲き始める城山歴史公園の河津桜。約190本の河津桜が咲き誇る景色は、まさに「花咲く海の町」を象徴する風景です。

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー


海上交通の要衝として栄えた、歴史ある港町

上関町は、ただ景色が美しい町だけではありません。
古くから海上交通の要衝として栄えてきた、歴史ある港町でもあります。

西町長が特に伝えたい歴史として挙げたのが、朝鮮通信使の一行が上関に11回寄港したという話です。さらに、旧上関番所や、海に関わるさまざまな歴史資源も、町の大きな財産として紹介してくださいました。

防長三関と呼ばれる「下関・中関・上関」。
ヤスベェ応援団長との会話の中では、上関はまさに“海の関所”だったのではないか、という話にも広がりました。帆船や航路、村上水軍の存在など、上関の歴史には常に海が深く関わっています。

さらに、港町として栄えた時代には、造船業や鉄工業も盛んで、船を持つ人も多く、正月前には港に船が戻ってきて町がにぎわっていたといいます。お祭りの日には人があふれるほどで、ヤスベェ応援団長も「原宿みたいな賑わいですね」と驚く場面がありました。

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー


上関町といえば、やはり車海老

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

今回の取材で大きな柱となったのが、上関町の特産品である車海老です。

西町長によると、車海老は光・熊毛地区栽培漁業協会で育てられており、上関町では小中学校の給食に提供されるなど、町にとって身近で大切な存在です。町長が語る上関の車海老の魅力は、「大きさ」「身の締まり」「新鮮さ」。さらに、ふるさと納税の返礼品としても高い人気を誇っています。

ヤスベェ応援団長が「思い切って自慢話をしてください」と振ると、西町長は、車海老を町の大切な特産品としてしっかり支えていきたいと話しました。

町内外を問わず人気があり、贈答品としても喜ばれる車海老。西町長自身も贈答品として利用しており、非常に好評だといいます。

さらに印象的だったのは、町内の中学生による「車海老まつり」の話です。
中学生たちは、町の特産品をPRしたいという想いから、車海老を使った商品開発や販売、車海老のつかみ取りなどを企画。大盛況だったと西町長は嬉しそうに話してくださいました。

また、上関小学校では車海老や真鯛の稚魚を迎える「入学式」が行われています。子どもたちは大きな水槽で餌やりや水温管理をしながら大切に育て、成長すると「卒業式」として海へ放流します。

海の恵みを食べるだけでなく、自ら育て、海へ送り出す。その体験を通して、上関町では子どもたちが幼い頃から地域の海や命の大切さを学び、自然への愛着を育んでいます。


漁業の町として、海の恵みを未来へつなぐ

上関町は、昔から水産業・漁業に支えられてきた町です。
しかし、今は漁業者の後継者不足、漁価の低迷、漁具などの経費増加といった課題にも直面しています。西町長は、漁に出ても利益が上がりにくく、跡を継がせることが難しくなっている現実を率直に語りました。

それでも、町として海の恵みを未来へつなぐ取り組みは続いています。

新しく漁業者を目指す人が、先輩漁業者のもとで学ぶニューフィッシャーの取り組みや、県と協力した漁礁の設置など、魚を守り、漁業を支えるための取り組みも進められています。

海は、上関町の誇りであり、暮らしであり、食の源です。
だからこそ、守るべきものとしてだけではなく、次の世代へ受け継ぐべき“町の財産”として語られていました。


車海老だけではない、上関町のおいしいもの

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

車海老以外にも、上関町にはたくさんの“おいしいもの”があります。

西町長は、新たに移住者が取り組むイチゴ栽培についても紹介してくださいました。大粒で評判もよく、新しい上関町の食の魅力として期待されています。また、町内の飲食店や道の駅、温泉施設のレストランなどにも触れ、「上関町では、どこで食べても地元の新鮮な食材のおいしさを味わえる」と、町の食の魅力を語りました。

また、きれいな海で育つひじきやわかめ、海藻類、鮮魚も上関町ならではの味。
西町長は、海がきれいだからこそ育つ海藻や魚は、やはり他とは違うと話します。

取材当日も、西町長は昼に大きな太刀魚を食べたそうです。
漁師さんからもらった立派な太刀魚の話をする表情には、海の町で暮らす人ならではの喜びがにじんでいました。


町長自ら朝市を手伝う、道の駅上関海峡

上関町を訪れる人にとって、重要な玄関口となっているのが「道の駅 上関海峡」です。

道の駅では、新鮮な魚や野菜が販売され、毎週日曜日の朝市も人気です。ところが、その朝市が人手不足などで一時続けにくくなった時、西町長は「それなら自分が手伝う」と動きました。

毎週日曜日の朝8時から朝市に出て、袋詰めや氷詰めを手伝い、お客さんと直接会話する。町外から訪れる常連客も多く、広島県から来る人もいるそうです。

ヤスベェ応援団長も思わず、
「町長自ら売っているっていうのは最高ですね」
と声を上げました。

西町長はさらに、毎月第2日曜日には上関大橋周辺の清掃活動にも参加していると話します。町のシンボルである上関大橋を、みんなで守っていきたい。その言葉通り、自ら動く姿勢が西町長らしさです。


上関町を知ってもらう入口、のんのちゃん

上関町には、公式VTuber「のんのちゃん」がいます。

町を知ってもらうための新しい入口として、のんのちゃんには大きな期待が寄せられています。西町長は、のんのちゃんについて「町を皆さんに知っていただく窓口になってもらいたい」と語りました。

のんのちゃんは、上関町の町花である野路菊をモチーフにしたキャラクター。
名前の由来には、上関の方言で小さな子どもに対し「上を向いて」という意味で「のんのして」と声をかけることから、みんなで上を向いて明るい未来を目指していこう、との願いが込められているそうです。 

海、花、方言、やさしさ。
のんのちゃんは、上関町の空気をやわらかく伝える存在なのかもしれません。


②援むすび山口ぶっちゃけインタビュー

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

西哲夫町長の素顔に触れる時間

インタビュー後半は、援むすび山口恒例の「ぶっちゃけインタビュー」。
ここでは町の政策や観光情報から少し離れ、西町長ご自身の好きなもの、思い出、趣味、人柄に迫りました。

意外だったのは、海の町の町長でありながら、好きな食べ物の話で「肉」も出てきたこと。和牛のステーキや焼肉もお好きだそうです。ただ、話が進むと、やはり鮮魚、お刺身、焼き魚、煮魚、天ぷら、かまぼこといった上関らしい食の話に戻っていきます。きれいな海で獲れた素材で作る食品はやはり違う、という言葉には、上関の海への誇りがありました。

思い出の味として出てきたのは、学生時代に食べた「二重焼き」。今でいう回転焼き、大判焼きのようなもので、当時は1個70円ほどだったそうです。野球の練習に打ち込み、忙しい日々を過ごしていた若い頃の空気が、その話から伝わってきました。

おすすめの観光スポットでは、河津桜から御汗(みあせ)観音、そして上盛山へ向かうルートを紹介してくださいました。花を楽しみ、観音様に手を合わせ、風力発電の大きな風車を見上げ、最後に上盛山から景色を眺める。上関町の自然と信仰と景観を一度に感じられるコースです。

西町長の趣味は、写真、グラウンドゴルフ、盆栽。写真は、議員時代に議会広報に載せる写真を勉強したことがきっかけで、フォトサークルに入り、尾道や竹原、津和野などにも撮影に出かけていたそうです。今は町長職でなかなかカメラを持ち歩く時間がないと話しながらも、町の風景を見つめる目は、やはり写真好きのそれでした。盆栽は20代の頃から続けており、枝ぶりを見ながら、どう整えていくかを考える時間が癒しになっていると話されました。

そして、特に印象的だったのが少年野球の話です。西町長は17年間、少年野球の監督を務め、全国大会に4回出場。最初は負けてばかりだった子どもたちを見て、「いつか勝てるようにしてやりたい」と思ったそうです。厳しさの奥に、子どもたちへの深い愛情がありました。


親分肌で、情に厚く、涙もろい町長

取材を通して強く印象に残ったのは、西町長の人柄です。

親分肌で、頼まれたら動いてしまう。
朝市が困っていれば自分が手伝いに行く。
地域のため、子どもたちのため、町の未来のために、体を動かし続ける。

そして、決して強さだけの人ではありません。

ご自身でも「涙もろい」と語り、家族の話や、子どもたちを指導してきた話になると、言葉の奥に感情がにじみます。ヤスベェ応援団長も、「感受性が豊かでいらっしゃるんですね」と受け止めました。


③中村店長の「山口直送!トリビアな話」

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

上関という名前に眠る、小さな物語

このコーナーは、市町名の由来、歴史や文化の豆知識、防長三関、特産品や観光地の意外な話など、知ると誰かに話したくなる“小さな物語”を掘り起こす企画です。

上関トリビア①

上関町の始まりは「竈戸関(かまどせき)」
上関町は、平安時代には「竈戸関(かまどせき・かまどがせき)」と呼ばれていました。
その名は、港周辺の地形が煮炊きに使う「竈(かまど)」に似ていたことが由来と伝えられています。
古くから瀬戸内海を行き交う船が立ち寄る港として栄え、人や物、文化が行き交う海の玄関口として発展してきました。


上関トリビア②

「上関・中関・下関」は防長三関
現在の「上関」という町名は、山口県内に置かれた三つの海の関所「防長三関」に由来します。
瀬戸内海の海上交通を守る重要な関所は、都に近い順に上関・中関・下関と呼ばれました。
古くから瀬戸内海の交通と物流を支える重要な拠点として栄え、その歴史は現在の町名にも受け継がれています。

西町長も、この三つをつなげて何かできないかという想いを持っておられました。上関の車海老、下関のフグやアンコウ、そして中関の歴史や食。三つの関をつなぐことで、山口県の海の歴史と食を新しい形で伝えられるかもしれません。

援むすび山口としては、ここに大きな可能性を感じました。
ただの豆知識で終わらせるのではなく、地域同士をつなぐ企画にできるかもしれない。
「相席サミット」のように、上関・中関・下関がそれぞれの魅力を持ち寄る場ができれば、山口県の“関”の物語はもっと面白くなるはずです。

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー


取材後記|援むすび山口編集長/地産地消プロデューサーとして

首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

今回の上関町取材で私が一番感じたのは、上関町は「説明されて初めて深く見えてくる町」だということです。

ただ景色がきれい。
ただ海がある。
ただ車海老が有名。
それだけでは、上関町の本当の魅力は伝わりません。

なぜこの町が海上交通の要衝だったのか。
なぜ車海老が町の誇りになっているのか。
なぜ朝市に町外から人が来るのか。
なぜ子どもたちが車海老をPRしようと思ったのか。
なぜ「花咲く海の町」という言葉がしっくりくるのか。

その“なぜ”を聞いていくと、上関町の魅力は一気に立ち上がってきます。

地産地消とは、地元のものを地元で消費することだけではありません。
その土地で生まれた理由を知り、その土地の人の営みごと味わうことです。

上関町の車海老は、単なる高級食材ではありません。
海の環境、育てる人、町の支援、子どもたちの発信、贈る人と受け取る人の喜びまで含めて、上関町の物語になっています。

道の駅や朝市も同じです。
そこには商品が並んでいるだけではなく、町の人がいて、漁師さんがいて、買いに来る常連客がいて、会話があります。だから、上関町の食は「買うもの」であると同時に、「会いに行く理由」になるのだと思います。

西哲夫町長の魅力も、今回の取材で強く印象に残りました。
大きな言葉で町を語るだけではなく、自分で朝市に立ち、自分で動き、町の人と話す。
親分肌で、情に厚く、頼まれたら放っておけない。
その人柄が、上関町という町の温度をそのまま表しているように感じました。

上関町は、派手に飾り立てる町ではないかもしれません。
けれど、知れば知るほど、海の向こうからいろいろな物語が見えてくる町です。

海の道。
港町の記憶。
花の景色。
車海老の誇り。
朝市のにぎわい。
のんのちゃんという新しい入口。
そして、町を本気で思う人たち。

今回の取材で、改めて思いました。

地域の魅力は、パンフレットの中だけにあるのではありません。
そこに暮らす人の言葉の中にあります。
その土地で食べられてきたものの中にあります。
誰かが守り、育て、次につなごうとしている姿の中にあります。

知ると好きになる。
知ると美味しくなる。
好きになると逢いに行きたくなる。

上関町は、まさにその言葉が似合う町でした。
「花咲く海の町 上関」。
この町には、まだまだ伝えたい物語があります。


首長・地産地消リレー 上関町編 西哲夫町長インタビュー

上関町より、素敵なプレゼントをいただきました!

上関町公式VTuber 「のんのちゃん」 のオリジナルグッズ詰め合わせを、1名様にプレゼント!

のんのちゃんは、上関町の町花「野路菊(のじぎく)」から生まれた妖精。上関町の魅力を全国へ発信する公式VTuberとして、観光やグルメ、歴史などを楽しく紹介しながら、歌やゲーム配信など幅広く活動しています。

【プレゼント内容】

  • のんのちゃん クリアファイル 
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上関町の魅力が詰まった、のんのちゃんグッズをぜひお楽しみください!


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