取材日:2026年6月30日
聞き手・取材・文・撮影/援むすび山口編集長・地産地消プロデューサー 重村光寛
今回のゲスト・道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 高津京介駅長


道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

上関町の海を、いちばん近くで感じられる場所。

山口県熊毛郡上関町室津にある道の駅上関海峡は、目の前に穏やかな海が広がり、店内には地元で水揚げされた魚や、地域の農産物、加工品、特産品が並ぶ道の駅です。

今回、援むすび山口では、道の駅 上関海峡の高津京介駅長にお話を伺いました。

道の駅 上関海峡は、平成26年12月に山口県内22番目の道の駅としてオープンしました。

施設の役割は、道路利用者の休憩場所というだけではありません。休憩機能、情報発信機能、地域連携機能を持ち、地域とともににぎわいをつくる拠点として整備されています。

今回、援むすび山口では、道の駅 上関海峡の高津京介駅長にお話を伺いました。

道の駅というと、ドライブの途中に立ち寄る休憩スポットという印象を持つ方も多いかもしれません。
しかし、高津駅長のお話を聞いて見えてきたのは、単なる観光施設ではない、上関町の暮らしと海をつなぐ場所としての姿でした。

ここは、上関の魚に出会える場所。
地元の漁師さんや生産者さんの仕事が見える場所。
そして、観光で訪れる人だけでなく、地域の方の日常も支えている場所です。

① 援むすび山口地産地消インタビュー!

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

「地元の魚を買える場所がない」から始まった、ふるさと市場の構想

道の駅 上関海峡の成り立ちを伺うと、そこには上関町らしい理由がありました。もともとの始まりは、観光施設をつくることではなく、地元の人が地元の水産物を買える場所をつくりたいという思いだったそうです。

上関町は海に囲まれた水産の町でありながら、当時は地元の魚を買える場所が十分ではありませんでした。そこで、地元の水産業者さんや漁師さんが魚を出せる「ふるさと市場」のような直売所構想が生まれました。その後、役場の努力もあり、道の駅として整備されていったそうです。

つまり、道の駅 上関海峡は、最初から「外から人を呼ぶため」だけに生まれた場所ではありません。

まず、地元の人のため。
そして、地元の魚を届けるため。

そこが、この道の駅の原点でした。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

観光客だけではなく、地元の暮らしも支える場所へ

高津駅長のお話で印象的だったのが、昨年夏に道の駅内にできたYショップの存在です。

一見すると、道の駅の中にコンビニ機能が加わっただけのように見えます。
しかし、そこには大きな意味がありました。

近年、地元の生産者さんや漁師さんが減り、さらに地域のお店も少しずつ小さくなっていく中で、地元の方が日常的に買い物をする場所としての機能が必要になってきたそうです。Yショップは一般的なコンビニフランチャイズとは違い、比較的自由度のある仕入れの共同体のような仕組みで、道の駅の中に地域の暮らしを支える機能をつくることができたと話されていました。

ここで見えてきたのは、道の駅 上関海峡が、単なる観光スポットではないということです。

観光で来る人にとっては、上関町の海と食を感じる入口。
地元の人にとっては、買い物や待ち合わせ、日常の中で立ち寄れる場所。

その両方を担っているのが、道の駅 上関海峡なのです。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

「瀬戸内の魚なら自信がある」

道の駅 上関海峡の一番の魅力を伺うと、高津駅長は迷わず地元の魚を挙げられました。

野菜や果物もありますが、やはり中心は魚。
特に、瀬戸内の魚には自信があると話されていました。

店内の鮮魚コーナーには、その日、その季節、その海の状態によって魚が並びます。

そこにあるのは、いつでも同じ商品が並ぶ便利さではなく、
「今日はどんな魚があるのか」
「これはどうやって食べるのか」
「この魚はどこで獲れたのか」
と、思わず聞きたくなる楽しさです。

夏はハモ。
年間を通して見ると、メバルも上関らしい魚のひとつ。
冬には白サバフグもおすすめだそうです。

特にメバルについては、山口県内でもここまで揃う場所は少ないとのこと。煮付けにすると美味しく、少し時間を置くことで身の状態が変わり、より煮付けに向くという話も、魚を知り尽くした高津駅長ならではでした。

また、白サバフグは唐揚げや鍋で楽しめる魚として紹介されていました。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


海を見ながら食べる。船の音まで味わう。

道の駅 上関海峡の魅力は、魚だけではありません。

目の前に広がる海。
そして、そのすぐ近くを通る船。

高津駅長は、船の音を聞きながら食事ができること、海を眺めながら過ごせることも、この場所ならではの魅力だと話されていました。レストランから見える海の景色は、ここへ来る道中の期待感も含めて、訪れた人の気持ちを高めてくれるようです。

車で来る人。
バイクでツーリングに来る人。
自転車で海沿いの道を走ってくる人。

道の駅に着いて、海を見て、魚を食べる。
それだけで、上関町に来た意味が生まれます。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

レストランで食べてほしい、上関の車海老

道の駅 上関海峡のレストランでおすすめを伺うと、高津駅長が挙げたのは、上関の車海老でした。

特に車海老の天ぷらは、高津駅長自身も「一番好き」と話されていました。

車海老そのものの生産や養殖の背景は、別取材の「光・熊毛地区栽培漁業センター」で詳しく伺います。
ここでは、あくまで食べる楽しみとしての車海老です。

上関に来て、海を見て、車海老の天ぷらを味わう。
それは、単なる食事ではなく、上関町の海を体験する時間なのだと感じました。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

生産者にも、ちゃんと利益を出してもらう

高津駅長のお話で、地産地消の本質に触れる場面がありました。

地元の漁師さんや生産者さんとの関係で大切にしていることを伺うと、価格のこと、売り方のこと、どうすれば売れるかという相談を日々されているとのことでした。

そして特に印象的だったのが、安く売ればいいわけではないという考え方です。

遠くから来てくれるお客様に安く提供したいという気持ちもある。
しかし、若い生産者さんや漁師さんにとっては、それが暮らしを支える収入でもあります。だから、ボランティアのような価格になってはいけない。きちんと収益が出る形にすることも大切だと話されていました。

これは、まさに地産地消の重要な視点です。

地元のものを安く買うことだけが、地産地消ではありません。
作る人、獲る人、売る人、買う人が、無理なく続けていけること。
その循環を守ることが、本当の意味での地産地消なのだと思います。


道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

道の駅の仕事は「売る」だけではなく、バランスを取ること

高津駅長は、道の駅の仕事について「バランスを取ること」だと話されていました。

買いに来るお客様。
商品を出す生産者さん。
役場の方。
観光客。
地域の方。

立場も目的も違う人たちが、この場所に関わっています。

生活必需品を求める地元の方と、観光で上関らしいものを求める方では、必要としているものも価格への感覚も違います。その違いを受け止めながら、調整していくことが道の駅の大切な役割だと感じました。

道の駅 上関海峡は、魚を売る場所でありながら、人と地域の間をつなぐ場所でもあるのです。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


② 援むすび山口ぶっちゃけインタビュー!

魚は「食べる」より、「見る・育てる・扱う」が好き

高津駅長に、個人的に好きな農林水産物や特産品について伺うと、意外な答えが返ってきました。

魚が好き。でも、食べること以上に、見ること、育てること、扱うこと、捌くことが好き。

幼少期から魚釣りに親しみ、魚そのものに強い関心を持って育ってこられたそうです。水族館や動物園の飼育員にも通じるような、生き物への愛情が根っこにある方だと感じました。

しかも魚だけではありません。

昆虫も好きで、家では鈴虫を育てているとのこと。
その数、なんと約300匹。

「人間も好きですよ。でも、人間は難しいですけどね。」
冗談交じりの一言に、取材中は思わず笑いが起きました。
魚を知り尽くした人というより、生き物そのものを愛する人。

それが、高津駅長の素顔でした。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


好きな味は、柑橘とサワラのたたき

上関に来てから好きになったものとして、高津駅長は柑橘類の話もされていました。

上関周辺は温暖な気候もあり、みかんや雑柑などの柑橘類も魅力のひとつです。高津駅長は、品種ごとの違いを知る中で柑橘が好きになり、シンプルに皮をむいてそのまま食べるのが好きだと話されていました。

そして、思い出のソウルフードとして出てきたのが、サワラのたたき。

漁協に入った頃、平生方面を回っていた時に食べたサワラのたたきが、これまで食べた中で一番おいしかったそうです。カツオではなく、サワラのたたき。薬味も含めて忘れられない味だったと語られていました。

魚を食べるというより、魚と関わってきた人生の中に、忘れられない一皿がある。
そんなお話でした。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


実は唐揚げも好き

魚の話が中心になると思いきや、唐揚げの話でも盛り上がりました。

昔好きだった唐揚げの思い出、そして最近気に入っていた塩唐揚げの話。
特に、原田さんの塩唐揚げについては、やめる前の1週間から10日ほど毎日買ったというエピソードまで飛び出しました。

魚に詳しい高津駅長ですが、こういう少し人間味のある“好き”が出てくるところが、ぶっちゃけインタビューの面白さです。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


おすすめの景色は、海の上から見る上関

kyosuke takatsu(是非チャンネル登録してみてください)

https://www.youtube.com/results?search_query=tak755

おすすめの観光スポットを伺うと、一般的に行きやすい場所としては、360度見渡せる山の景色が出てきました。

さらに高津駅長らしいのが、ドローンで海の上を飛ばして見る上関の景色です。

陸地では権利や許可の問題があるため、海の上を飛ばすのが好きだという高津駅長。島と島の間、浅瀬のある風景など、普段の目線では見られない上関の景色を撮影されているそうです。

海を仕事として見てきた人が、空からもう一度海を見る。

その視点には、上関町の新しい見せ方の可能性も感じました。


脱皮の殻、骨格標本、そして食育へ

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

高津駅長の素顔で、もうひとつ強烈に印象に残ったのが、標本づくりの話です。

水槽の生き物の脱皮した殻を固定して加工したり、魚の骨格標本を作ったりするそうです。食べた後の魚の頭を標本にしようとして、奥様に捨てなさいと言われた話も出てきました。

でも、これはただの趣味で終わる話ではありません。

魚の姿、旬、命の形を知ることは、食育にもつながります。
高津駅長も、子どもたちが魚や旬を知らなくなっていることに触れながら、こうしたことを伝える意味について話されていました。

魚はパックに入っているものではなく、海で生きていたもの。
そこを知ることが、食べることへの理解を深めてくれます。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


③ 中村店長の「山口直送!トリビアな話」を教えて下さい!

上関の天ぷら文化には、海の魚を活かす知恵がある

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

実は、上関名物「むろつのてんぷら」は、“もったいない”の心から生まれました。

昭和初期、まだ冷凍技術が普及していなかった頃、好漁場だった上関では魚が大量に水揚げされ、余った魚は廃棄せざるを得ないこともありました。

そこで、新鮮な魚を石臼ですり身にし、油で揚げて保存性を高め、港で潮待ちをする船乗りへ売り歩いたのが「むろつのてんぷら」の始まりとされています。

高津駅長は、地元の魚を練り込みながら、年間を通して同じ味を出すことのすごさにも触れられていました。これは、ただ魚を加工するだけではなく、素材の違いを見極め、味を整え続ける技術でもあります。

つまり、上関のてんぷらは、単なる加工品ではありません。

その土地の魚を、その土地の人が工夫して食べ続けてきた、上関らしい食文化のひとつ。

知ると、てんぷらがただの天ぷらではなくなります。

一口の中に、海と暮らしと知恵が入っている。

これこそ、中村店長の「山口直送!トリビアな話」です。


取材後記|援むすび山口編集長/地産地消プロデューサーとして

今回、道の駅 上関海峡を取材して、改めて感じたことがあります。

地産地消とは、地元のものを地元で買うことだけではありません。

地元のものが、なぜそこに並んでいるのか。
誰が獲り、誰が育て、誰が加工し、誰が値段を考え、誰が届けているのか。

そこまで知って初めて、地産地消は“消費”ではなく“関係”になるのだと思います。

道の駅 上関海峡は、上関町の海の入口です。

でも、それは観光客にとってだけではありません。
地元の方にとっても、買い物をする場所であり、待ち合わせをする場所であり、暮らしの中にある場所です。

店内には、地元の水産物、農産物、加工品、工芸品などが並びます。

魚が並ぶ。
みかんが並ぶ。
天ぷらや加工品が並ぶ。
お弁当や地元の商品が並ぶ。

その一つひとつは、ただの商品ではなく、上関町や周辺地域で暮らす人たちの仕事そのものです。

そして、町内の方だけでなく、近隣市町や広島方面から訪れる方も多い。
道の駅 上関海峡は、地元の日常と、観光の入口の両方を担っている場所なのです。

だからこそ、高津駅長が話されていた「バランスを取るのがこの仕事」という言葉が重く響きました。

お客様に喜んでもらう。
生産者さんにも続けてもらう。
地域の暮らしも支える。
観光客にも上関らしさを感じてもらう。

その全部を、ひとつの場所で成立させるのは簡単ではありません。

安く売れば喜ばれるかもしれない。
でも、それで生産者さんが続けられなくなれば、地元の魚は消えていきます。

品揃えを観光客向けに寄せすぎれば、地元の人の日常から離れていきます。
逆に生活用品だけになれば、遠くから来る人にとっての上関らしさが薄れていきます。

その間に立ち、日々調整しているのが、高津駅長の仕事なのだと感じました。

そしてもうひとつ。

高津駅長は、魚を「商品」としてだけ見ていませんでした。

魚を見る。
育てる。
触る。
捌く。
標本にする。
子どもたちに伝える。

そこには、魚を売る人というより、魚と生きてきた人の目線がありました。

だからこそ、道の駅 上関海峡の鮮魚コーナーには、ただ魚が並んでいるのではなく、上関の海そのものが並んでいるように感じます。

知らない魚の名前を見つける。
どう食べるのか聞いてみる。
家に帰って煮付けにしてみる。
レストランで車海老の天ぷらを味わう。
海を見ながら、船の音を聞く。

それだけで、上関町のことを少し好きになります。

援むすび山口が大切にしている言葉があります。

知ると好きになる。
知ると美味しくなる。
好きになると逢いに行きたくなる。

道の駅 上関海峡は、まさにその入口でした。

上関町に行ったら、まずここへ。
魚を見て、海を見て、食べて、話を聞いてみてください。

そこには、山口県民でもまだ知らない、上関町の“おいしい物語”があります。

道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー


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道の駅 上関海峡(一般財団法人なごみ) 
高津京介駅長 インタビュー

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ぜひこの機会に、上関ならではの海の幸をご賞味ください。


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