橋がつないだ50年。そして、人がつないでいく周防大島
取材日:2026年7月17日
聞き手/ヤスベェ応援団長(大谷泰彦さん)
取材・文・撮影/援むすび山口編集長・地産地消プロデューサー 重村光寛
※インタビュー内容は、発言の趣旨を変えない範囲で、読みやすく編集・再構成しています

山口県南東部、瀬戸内海に浮かぶ周防大島。
「みかんの島」「瀬戸内のハワイ」として知られ、美しい海岸線の中には、個性的なカフェや飲食店が点在しています。しかし、藤本淨孝(ふじもと きよたか)町長のお話を聞いていくと、周防大島の魅力は、景色や食だけではありませんでした。
大島大橋を架けるために心を一つにした先人たち。
海を渡り、ハワイへ向かった島民たち。
みかんと魚を一つの鍋にしてしまった料理人たち。
そして、新しい人や新しい挑戦を受け入れてきた島の人たち。
周防大島には、昔から「人と人がつながり、新しいものを生み出す力」があるのかもしれません。藤本町長に、周防大島の「今」と「これから」を伺いました。
① 援むすび山口地産地消インタビュー!

1.藤本町長にとって、周防大島町はどのような町ですか。
ヤスベェ応援団長:僕は周防大島が大好きで、これまで何度も来ていますが、やっぱりこの島には独特の空気がありますよね。町長ご自身は、周防大島をどんな町だと感じていますか。

藤本町長:何より、過ごしやすい町だと思います。地域の皆さんが温かく、豊かな自然があって、気候も温暖です。そして食べ物も美味しい。私は都会で生活したこともありますが、それと比べても、周防大島には本当にいろいろな良さがあります。島というと「不便なのでは」と思われるかもしれませんが、実際に暮らしてみると、何でもあるなと感じます。そして、やっぱり一番は「人」ですね。子どもから高齢の方まで、それぞれの世代が気持ちよく過ごせる。そんな島だと思っています。


2.大島大橋が開通50周年を迎えました。今、どのような思いですか。
ヤスベェ応援団長:50年というのは大きな歴史ですよね。今は橋があって当たり前ですが、当時の方々にとっては、島の暮らしそのものを変える出来事だったと思います。


藤本町長:私自身は52歳ですから、大島大橋があることが当たり前の世代なんです。でも、50周年を迎えるにあたって、改めて橋ができるまでの歴史を勉強しました。すると、本当に「プロジェクトX」のような話なんですよ。先人の皆さんが、血のにじむような、命がけともいえる思いで架橋を実現された。町民の皆さんも「樽募金」などで協力して、心を一つにされたと聞いています。この50周年を機に、もう一度、町民の皆さんが心を一つにできればと思っています。
ヤスベェ応援団長:橋ができたことで、外から訪れる人にとっても大きく変わりましたよね。
藤本町長:そうですね。マイカーで気軽に来られるようになりましたし、物流も変わりました。そして、島民にとって大きかったのは、「会いたい人に会える」ということだと思います。外から来る人にとっては非日常の橋。でも島民にとっては、渡ると「ああ、帰ってきたな」と感じる橋なんです。


3.周防大島町は、なぜ「瀬戸内のハワイ」と呼ばれているのでしょうか。
ヤスベェ応援団長:「瀬戸内のハワイ」と聞くと、海がきれいだからとか、ヤシの木があるからと思っている人も多いですよね。でも、実はそうじゃないんですよね。
藤本町長:そうなんです。周防大島とハワイの関係は、明治時代までさかのぼります。当時、日本とハワイ王国との間で官約移民制度があり、周防大島からも多くの方がハワイへ渡りました。その方々が2世、3世、4世となり、今も交流が続いています。そして1963年には、ハワイ州カウアイ島と姉妹島縁組を結びました。今でもハワイに親戚がいる家庭があります。
ヤスベェ応援団長:つまり、観光のために後から「ハワイ」と名付けたのではなくて、本当に人と人の歴史がつながっている。これは知らない人が多いと思います。
藤本町長:そうですね。そのハワイとのつながりを今に伝えている一つが「サタフラ」です。夏には毎週土曜日に、島内各地でフラが行われて、全国からも多くの方が来られます。




4.周防大島町には、みかんや魚をはじめ、どのような農林水産物がありますか。
ヤスベェ応援団長:援むすび山口としては、やっぱり「食」が気になります。周防大島といえば、まず思い浮かぶのはみかんですよね。
藤本町長:やっぱり、みかんですね。周防大島は温暖な気候に恵まれ、日当たりの良い斜面が多く、土壌や潮風など、みかんづくりに適した環境があります。大島のみかんは、ただ甘いだけではなく、しっかりとした酸味があって味が濃い。糖度と酸味のバランスがいいところが魅力だと思います。また、時期によって品種が次々と変わるので、長い期間にわたっていろいろな柑橘を楽しめるのも周防大島ならではですね。
一方で、みかん産地としては大きな課題もあります。最盛期には約8万トンあった生産量が、現在では3,000トンを切るまでに減少しています。生産者の高齢化や後継者不足に加え、これまで大切に守られてきた良い園地を、次の世代へうまく引き継げていないという問題もあります。
ヤスベェ応援団長:「みかんの島」として知られているからこそ、この産地をこれからも残していくことが大切ですよね。

藤本町長:そうですね。若い方や移住して来られた方にも、みかんづくりを仕事として続けていける、きちんと生活していけるというモデルをつくりながら、産地を守っていきたいと思っています。実際には、「周防大島へみかんを買いに来たけれど、買えなかった」という声が出ることもあるくらいですから、需要がある一方で、生産量をどう維持し、増やしていくかということも大切になっています。
ヤスベェ応援団長:そして周防大島といえば、海の恵みもありますよね。その中でも、もっと県内外の皆さんに知ってもらいたいのが「いりこ」じゃないでしょうか。



藤本町長:そうですね。ぜひ知っていただきたいのが、浮島のいりこです。原料になるのはカタクチイワシで、朝、日の出の頃に近海で獲れたものを、船ですぐに港へ運び、そのまま加工場へ送って釜茹でし、乾燥させていきます。漁場と加工場が近いため、獲れた魚を新鮮なうちに素早く加工できることが、周防大島のいりこの美味しさを支えている一つの理由だと思います。
また、浮島では昔から資源を大切にしながら漁を続けていて、漁期も6月1日から11月末までと定め、それ以外の時期には獲らないようにしています。獲れるだけ獲るのではなく、海の資源を守りながら次の漁につないでいく。その積み重ねが、安定して良質ないりこを生み出すことにもつながっています。周防大島のいりこは全国にも出荷されています。


ヤスベェ応援団長:いりこと聞くと「だしを取るもの」というイメージが強いですが、実際に食べてみると、そのままでも本当に美味しいですよね。
藤本町長:そうなんです。新鮮ないりこは、そのまま食べても美味しいですし、おやつやお酒のおつまみにもいいと思います。周防大島といえば、みかん。そして海の恵みとして、ぜひ「いりこ」も一緒に覚えていただきたいですね。

5.周防大島の名物「みかん鍋」は、どのようにして生まれたのでしょうか。
ヤスベェ応援団長:それにしても、最初に「鍋にみかんを入れよう」と考えた人はすごいですよね(笑)。周防大島には美味しい魚がたくさんあるわけですから、普通なら魚を主役にした鍋を考えそうなところを、そこへ島の特産品であるみかんを丸ごと入れた。その発想が面白いですよね。
藤本町長:本当にそうですね。みかん鍋を開発したのは、観光協会に加盟する飲食店の経営者や料理人の皆さんです。「周防大島鍋奉行会」というグループをつくり、いろいろな食材や調理方法を試しながら、試行錯誤を重ねて現在のみかん鍋をつくり上げていきました。
ただ目立つ料理をつくるのではなく、周防大島のみかんと瀬戸内の魚、それぞれの魅力を一つの料理で楽しんでもらう。そのために地域の飲食店経営者や料理人の皆さんが知恵を出し合い、周防大島らしい名物へと育てていったんだと思います。
ヤスベェ応援団長:でも実は、ただ鍋にみかんを入れれば「みかん鍋」になるわけではないんですよね。
藤本町長:そうなんです。皮ごと楽しめる「鍋奉行御用達」の焼きみかん、地魚のみかんつみれ、みかん胡椒、そして最後の淡雪みかん雑炊まで、きちんとした決まりがあります。
みかんだけではなく、地元の魚や料理人の技術まで含めて、周防大島の食を一つの鍋で楽しんでもらえる料理になっています。
今では「周防大島に来たら、みかん鍋」と言っていただけるくらい、島を代表する名物として定着してきましたね。
ヤスベェ応援団長:面白いですよね。みかんをつくる人がいて、魚を獲る人がいて、その食材を料理にする人がいる。それぞれが別々に存在するだけではなく、つながることで「周防大島だからこそ味わえる一品」になった。
地元で採れたものを、ただ地元で食べるだけではなく、地域の食材と人の知恵が結ばれることで新しい価値が生まれ、それが周防大島を訪れる理由にもなっている。
みかん鍋は、まさに周防大島らしい地産地消の形ですよね。
藤本町長:そうですね。みかんも魚も、もともと周防大島にある大切な地域の恵みです。それを料理人の皆さんが一つの料理として形にして、多くの方に知っていただけるようになった。これからも、周防大島の食材をいろいろな形で楽しんでもらえたら嬉しいですね。

6.周防大島町には、おしゃれなカフェや飲食店、個性的なお店が多い印象があります。なぜでしょうか。
ヤスベェ応援団長:これは僕、山口県内でも周防大島はかなり特徴的だと思うんです。
カフェやレストランがただ多いだけじゃなくて、それぞれ個性的なんですよね。「なんで、この島にこんなに面白い店が生まれるんだろう」と思います。
藤本町長:まずは環境ですよね。温暖で、年間を通じて営業しやすい。そして県内だけでなく広島からも、ドライブやツーリングで来ていただけます。あとは、若い経営者の方が「自分も店をやってみようかな」と思える雰囲気が生まれている。
一つのお店が成功すると、それを見て「自分もやってみよう」と思う人が出てくる。そういう小さな成功が、次の挑戦につながっているんじゃないでしょうか。
町としても、道の駅に「チャレンジショップ」を設け、まずは比較的少ない負担でお店を始めてもらい、そこから自分のお店や起業につなげていく取り組みをしています。
また、商工会や観光協会とも連携しながら、新しい挑戦を応援していきたいと思っています。
ヤスベェ応援団長:誰か一人が頑張っているというより、島の中に「やってみよう」という空気があるんでしょうね。


7.周防大島町の食や自然を、これからどのように観光につなげていきたいですか。
ヤスベェ応援団長:周防大島は、車でもバイクでも自転車でも楽しめる。海もある、食もある、お店もある。一つの観光地を見るというより、島全体を巡ることそのものが観光になりそうですよね。
藤本町長:そうですね。今はSNSなどで、少し離れた場所にあるお店にも人が集まるようになっています。「宝探し」じゃないですけど、お店を探しながら島を巡ってもらう。そういう楽しみ方もいいと思います。
SUPやシーカヤックなどのマリンスポーツもありますし、アイランドホッピングなど、島だからできる楽しみ方もあります。ただ、一番大切なのは、地元の皆さんが元気で「周防大島に住んでいて良かった」と思えること。その姿を見てもらうことで、「また来たい」と思っていただける町にしたいですね。
ヤスベェ応援団長:観光客のためだけに町をつくるんじゃなくて、住んでいる人が楽しそうだから、また来たくなる。これは大事ですね。



8.これから周防大島を訪れる方に、どんなふうに島を楽しんでもらいたいですか。
ヤスベェ応援団長:ここまでお話を聞くと、周防大島は、景色を見るだけの島じゃないですよね。食べるものもあるし、面白いお店もあるし、海でも遊べる。これから訪れる方に、どんなふうに周防大島を楽しんでもらいたいですか。
藤本町長:美味しいものは本当に山ほどあります。みかん鍋をはじめ、みかんやいりこ、魚など、ぜひ周防大島の食を味わっていただきたいですね。今はSNSなどを見ながら、少し離れた場所にあるお店を探して訪れる方も増えています。「宝探し」のように島を巡っていただくのも面白いと思います。
SUPやシーカヤックなど、海を楽しむこともできます。
そして何より、周防大島で暮らしている人たちの元気な姿に触れて、「また来たいな」と思ってもらえたら嬉しいですね。
ヤスベェ応援団長:なるほど。観光地を一つ見て帰るのではなく、食べて、人に逢って、お店を探して、海を楽しむ。周防大島は、何度来ても新しい発見がありそうですね。


② 援むすび山口ぶっちゃけインタビュー!

ここからは、町長ではなく、一人の「藤本淨孝さん」に迫ります。
Q1.個人的に好きな農林水産物・特産品・加工品は?
「いりこですね。毎日食べています。」みかんやデコポンなどの果物も好きだそうですが、最終的には「いりこ一択」。健康診断で骨密度を測ると、看護師さんから驚かれるほどの数値が出るそうで、「これは、いりこのおかげじゃないかと思っています」と笑います。そして、お酒はビール派。ビールといりこの組み合わせもお気に入りだそうです。
Q2.想い出の“ソウルフード”は?
少年時代、祖父母と一緒に過ごすことが多かった藤本町長。思い出すのは、おばあちゃんが作ってくれた煮魚。そして、周防大島の味として挙がったのが、たちばなや食堂とお好みハウスいっせい。お好み焼きは迷わず、「豚玉ですね。最高です。」華やかな名物料理だけではなく、家族と食べた煮魚や、昔からある町のお店の味。こうした日常の味も、その人にとっての大切な地産地消です。
Q3.おすすめの観光スポットは?
藤本町長おすすめの一つが、小積・大積地区にある厳島神社。海の中に立つ赤い鳥居の景色は、「いつ見てもきれい」と話します。もう一つは、海を望むことができる屋代ダムからの景色。一般的なダムは山の中にありますが、ここでは屋代ダムと海を同時に眺めることができる珍しいロケーションだそうです。観光パンフレットの定番だけではない、町長だから知っている周防大島の風景です。
Q4.藤本町長の“素顔”を教えてください。
実は藤本町長、お坊さんです。町長になるまでは僧侶として活動しており、現在は町長職に専念するため寺の仕事を休んでいます。そして、大学時代にはウインドサーフィンやサーフィンも。現在は健康づくりで走っています。「町長が終わったら、またお坊さんに戻ります。」町長という肩書きだけでは見えてこない、活動的で親しみやすい素顔が見えてきました。



山中副町長にも“ぶっちゃけ”聞いてみました!
周防大島町で暮らし始めてから見えてきた、この島の魅力。
今度は山中副町長にも、食、景色、そして意外な素顔を聞いてみました。
Q1.好きな食べ物は?
山中副町長も、やっぱりみかん。そしてもう一つ好きなのが梨。特に20世紀梨がお気に入りだそうです。日頃の昼食でよく利用しているのが、大島病院近くの食堂「はまや」。常連客限定ですが日替わりで地元のメバルやカレイなどの煮魚が登場し、「それがもう最高です。」と山中副町長。
周防大島で暮らすようになって、日常の中で島の魚を味わうことも楽しみの一つになっているようです。
Q2.おすすめの景色は?
山中副町長がおすすめするのは、大島商船高等専門学校の練習船「大島丸」と夕日の風景。夕方になると、大島丸の向こうに夕日が沈み、船が海に浮かぶ景色が広がります。山と川に囲まれた地域で育った山中副町長にとって、周防大島で日常的に見る海の風景は、今でも印象的なのだそうです。


Q3.山中副町長の“素顔”は?
実はかなり多趣味です。周防大島に来て久しぶりに挑戦したのが、大島郡水泳大会。子どもの頃に水泳をしていた経験を活かし、今も地域の大会に参加しています。そして、車も好き。愛車はマニュアルのオープンカー。さらに普段の通勤は自転車。水泳、オープンカー、自転車と、かなりアクティブな副町長です。
Q4.外から来たからこそ感じる、周防大島の人の魅力は?
山中副町長は、外から周防大島へやって来ました。実際にこの町で暮らし、地域の人たちと接する中で感じたのが、初めて来た人や新しく地域に加わった人を自然に受け入れてくれる、この島ならではの温かさです。「外から来た人を受け入れる寛容さがある」それが、山中副町長が実際に暮らして感じた周防大島の人たちの魅力です。


③ 中村店長の「山口直送!トリビアな話」
トリビア①「瀬戸内のハワイ」は、観光コピーじゃなかった!
「海がきれいだからハワイなの?」そう思っている人も多いかもしれません。実は明治時代、周防大島から多くの島民がハワイへ渡りました。資料によると、官約移民が始まった1885年から最初の10年間だけでも約4,000人。当時の島民のおよそ10人に1人にあたります。ハワイで成功して島へ戻った人たちは、文化や暮らし、資産を持ち帰りました。今でも島にはハワイに親戚を持つ家庭があり、1963年にはカウアイ島と姉妹島縁組を締結。
つまり、「瀬戸内のハワイ」は、景色からつけたキャッチコピーではなく、人の歴史から生まれた名前だったのです。その歴史を、今の時代に楽しく伝えているのが「サタフラ」。夏休み期間の毎週土曜日、島内のさまざまな場所がフラのステージになります。歴史が文化になり、文化が観光になる。これも周防大島ならではの地域ブランドです。

トリビア②みかん鍋は、ただ鍋にみかんを入れた料理ではない!
2006年。「みかんの島」と「瀬戸内の魚介」を一つにした、周防大島ならではの名物をつくろうと、地元の料理人たちが試行錯誤を重ねて誕生したのが「周防大島みかん鍋」です。
そして驚くことに、みかん鍋にはきちんとした「4つの定義」があります。
- 「鍋奉行御用達」の焼きみかん
- 地魚のみかんつみれ
- みかん胡椒
- 淡雪みかん雑炊
ここまでそろって、初めて「周防大島みかん鍋」。毎年10月1日から3月末まで、島内の旅館や飲食店などで提供されています。
農産物のみかん+水産物の魚+料理人+飲食店+観光。
考えてみれば、みかん鍋は「地産地消」を一つの料理にしたような存在です。
トリビア③日本中を歩いた民俗学者・宮本常一先生
周防大島町出身の宮本常一先生は、日本各地の島や農山漁村を歩き、人々の暮らしや文化を記録した日本を代表する民俗学者です。生涯で約16万キロを歩き、約10万点もの写真を残しました。その資料や功績は、町内の宮本常一記念館で見ることができます。
トリビア④約3,000曲を生んだ作詞家・星野哲郎先生
『三百六十五歩のマーチ』『男はつらいよ』など、数々の名曲を生んだ作詞家・星野哲郎先生も周防大島町出身。生涯で手がけた曲は約3,000曲。故郷への思いも強く、島の文化振興や子どもたちの支援にも力を尽くしました。町内の星野哲郎記念館では、その作品と言葉の世界に触れることができます。


取材後記|援むすび山口編集長/地産地消プロデューサーとして
今回、藤本町長、そして山中副町長のお話を聞いて、周防大島の魅力には一つの共通点があるように感じました。それは、「人を受け入れ、人をつなぎ、挑戦を応援する力」です。
大島大橋も、ハワイ移民の歴史も、みかん鍋も、個性的なカフェや飲食店も。
どれも最初から「地域ブランド」だったわけではありません。
誰かが動く。
誰かが応援する。
その姿を見て、また次の誰かが動き出す。

周防大島では、一つの店の成功が次の挑戦を生み、行政や商工会、観光協会もその挑戦を支えています。そして印象的だったのが、外から周防大島に来た山中副町長が感じた、島の人たちの「外から来た人を受け入れる寛容さ」です。周防大島は「島だから閉じている」のではありません。
むしろ、島だからこそ、海の向こうとつながってきた。
明治時代には多くの島民がハワイへ渡り、その交流は今も続いています。その長い歴史の中で育まれてきた「外とつながること」「新しい人を受け入れること」という気風が、今の周防大島にもどこか息づいているのかもしれません。私は、地産地消とは単に「地元で採れたものを地元で食べること」だけではないと考えています。
生産者と料理人がつながる。店と消費者がつながる。行政と事業者がつながる。地域で暮らす人と、地域を訪れる人がつながる。
そのつながりの中で、新しい商いが生まれ、地域の中でお金が動き、また次の挑戦が生まれていく。それこそが、私が考える「地産地消」であり、選ばれる地域をつくる力です。
大島大橋が開通して50年。
これから周防大島をつないでいくものは、橋だけではありません。人と人。生産者と料理人。食と観光。島の暮らしと、島を訪れる人。その「むすび」の中に、周防大島らしい地産地消と、これからの地域ブランドの姿があるように感じました。


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