知る人ぞ知る。でも、知ったら忘れられない。── 徳地やまのいもという存在

山口には、「名前は聞いたことがあるけれど、
実はよく知られていない」
そんな食材が、まだまだたくさんあります。
徳地やまのいもも、そのひとつかもしれません。
山口市徳地。
山に囲まれたこの地域で、
江戸時代から受け継がれてきた伝統野菜です。

写真で見ていただくと分かるように、
まず目を引くのは、その独特なかたち。
野球のグローブのようにも、拳のようにも見える姿は、
いかにも「山で育った食材」という存在感があります。
すりおろした瞬間に、理由が分かる
徳地やまのいもをすりおろすと、
多くの人が、ここで驚きます。
粘りが、まったく違う。



空気を含みながら、
ゆっくりと、とろりと落ちていく。
その粘りは強く、でも重すぎない。
口に運ぶと、後からしっかりとした旨みが追いかけてきます。
この粘りの正体は、
やまいも特有の成分や消化酵素(アミラーゼ)などによるもの。
昔から、やまいもは滋養に富んだ食材として親しまれ、
「山のうなぎ」 と呼ばれてきました。
徳地やまのいもを食べると、
この言葉が決して大げさではないことが、素直に伝わってきます。
この品質と特性が評価され、
徳地やまのいもは
農林水産省の GI(地理的表示)保護制度 にも登録されています。


まずは、生で味わう
今回、最初に作ったのは
山かけご飯。
炊きたてのご飯に、
すりおろした徳地やまのいもをのせるだけ。
それだけで、十分すぎるごちそうになります。


ご飯の粒を包み込む粘り。
噛むほどに感じる、自然な甘みと旨み。
余計な味付けをしなくても、成立する料理です。

火を入れても、良さは消えない
次に作ったのが、山芋焼き。
やまいもは、
「生で食べるもの」というイメージを持たれがちですが、
徳地やまのいもは、火を入れても魅力がしっかり残ります。

外はふんわり、
中はしっとり。
軽さがありながら、味が薄くならない。
これは、素材そのものに力がある証拠だと思います。


暮らしに寄り添う、パウダーという選択
もうひとつ、今回試したのが
徳地やまのいもパウダー。
皮むき不要。
下処理不要。
使いたい分だけ、水と合わせるだけ。
忙しい日常の中でも、
やまのいもの良さを無理なく取り入れられる形です。
今回は、このパウダーを使って
お好み焼きを作ってみました。
混ぜて、焼くだけ。
それでも、生のやまいもを使ったときと同じような
粘りと食感がきちんと残る。
「便利=妥協」ではない。
そんなことを、改めて感じさせてくれました。

手間をかけても、
手間を省いても
生の徳地やまのいも。
そして、やまのいもパウダー。
手間をかけて向き合う楽しさもあれば、
暮らしに合わせて取り入れる気軽さもある。
どちらを選んでも、
“徳地やまのいもらしさ”がきちんと残る。
それは、
地産地消の食材が持つ
本当の強さなのだと思います。


知ると、少し誇らしくなる
知ると、好きになる。
好きになると、食べたくなる。
そして、
「どんな場所で、誰が育てているんだろう」
と、産地のことが気になってくる。
援むすび山口が大切にしているのは、
そんな小さな関心の連なりです。
徳地やまのいもは、
派手な食材ではありません。
でも、知るほどに、静かに心に残る。
山口には、
こんな誇れる食材が、まだたくさんあります。
このブログや動画が、
その“入口”になれば嬉しいです。