“下松の海は、人の手で守られている海である”
下松市の海には、静かで穏やかな表情とは別に、
“確かな仕事”が日々積み重ねられています。
その中心にあるのが 「下松市栽培漁業センター」 と
海の学びと体験を担う 「ひらめきパーク笠戸島」 です。
今回、事業推進部門の旗手友紀さん、事務局長の荒川典子さんにお話を伺う中で、
はっきりと見えてきたことがあります。




1|海の資源を「つくる」仕事


■稚魚を育て、海へ返す。43年続く下松市の営み
栽培漁業センターの役割はとても明確です。
「魚が減っていく時代に、海の資源を回復させること。」
ここでは12魚種の種苗生産、中間育成、種苗放流を行い、
そのうち5魚種(オニオコゼ・キジハタ・マコガレイ・アイナメ・ウマヅラハギ)は
卵から育てる“ゼロからの生産” に取り組んでいます。
自然の海では生き残るのは約0.01%。
センターでは技術と経験を積み重ね、
生存率を 約5% まで引き上げてきました。
この“5%の奇跡”が、
下松市の漁業を支える大切な基盤になっています。
旗手さんはこう語ります。
「海に任せるだけでは守れません。
稚魚を育てて返すことで、未来の海を作るんです。」
これこそが、43年間続けられてきた“海の基盤整備”です。




2|笠戸ブランドを生む海と技術
■下松の海が、魚を美味しくする
瀬戸内でも特に環境バランスが整う笠戸の海。
この海で育つ魚には、土地ならではの個性が宿ります。
- 肉厚で噛むほど旨い 笠戸ひらめ
- しっかりとした身質と香りのクリアさが魅力の 笠戸のとらふぐ
- プロから「美味しい」と評価される 笠戸のさば・あじ
これらは“環境 × 技術 × 情熱”の積み重ねによって生まれたブランドです。




■緑のLEDがつくる“肉厚のひらめ”
ひらめの養殖水槽には 緑色LED が照射されています。
これは
「緑の光がひらめの食欲を増幅し、成長を促す」
という研究成果に基づくものです。
その結果、
分厚く引き締まった笠戸ひらめ が育ちます。
全国的にも珍しい技術であり、下松の価値を象徴する取組みです。
■夏みかん × ひらめ、レモン × 鯖
餌に萩産夏みかん果汁や、笠戸島レモン・地元の酒粕を活用することで、
魚の鮮度保持や香りの良さにつながり、
“魚の味を地域で作る”という地産地消の精神が宿っています。
これはまさに、
「身土不二(その土地だからこそ生まれる味)」 の体現そのものです。
3|“体験”が生む、下松の海とのつながり





■驚きと歓声があがるエサやり体験
ひらめきパーク笠戸島を訪れた人が必ず驚くのが、
ひらめのエサやり体験 です。
ひらめは“静かな魚”というイメージがありますが、
エサを入れる瞬間、水面が揺れるほど一気に集まります。
荒川さんは語ります。
「再開を待ってくださった子どもたちが多く、本当に嬉しかったです。」
昨年の猛暑で一時中止していた体験が、今年11月に再開しました。
その復活を喜ぶ声が市内外から届き、
この体験が“地域の宝”になっていることが伝わってきます。



■ “猫職員”がつなぐもう一つの物語


海側・陸側にいる“猫職員”は、もともと
- 鳥を追い払う
- 網をかじるネズミ対策
という役割を担っていました。
しかし今では、
- 来場者の癒し
- SNSでの話題づくり
- 海に興味をもつ入口づくり
として欠かせない存在になっています。
“猫から始まる海の学び”
これは下松ならではの魅力です。
4|未来への挑戦

■完全養殖の“笠戸ひらめ”をつくりたい
旗手さんが語ってくださった未来の目標は、とても力強いものでした。
「卵→稚魚→育成→出荷」
この全工程を笠戸の海で完結させる “完全養殖の笠戸ひらめ” を生み出したいという挑戦です。
さらに、獲れなくなったメバルの資源回復にも取り組みたいと話されました。
荒川さんも続けます。
「魚を育てるだけではありません。
子どもたちに海の本当の姿を伝えていきたいんです。」
魚を通じて“海を理解する世代”を育てることこそ、
未来の地産地消であると感じます。

むすびの結び
今回の取材を通して、
「下松の海は、人と技術と情熱で守られている海」
であることを強く実感しました。
ひらめきパークで子どもたちが笑う姿、
猫職員に癒される姿、
漁師さんのために技術を蓄積し続ける研究の姿勢――
そのどれもが、確かに“未来の海”をつくっています。
援むすび山口は、
この“海をつくる人たち”の仕事と物語を、
これからも丁寧に届けていきます。

②援むすび山口ぶっちゃけインタビュー
(旗手友紀さん・荒川典子さん “ひと”の魅力を伝える人柄編)


下松市の水産を支えるお二人に、
仕事のことだけではなく“素顔”についてもお話を伺いました。
旗手友紀さんが個人的に好きな食材は 「笠戸のさば」。
ご自身が開発を担当されたこともあり、
「刺身で食べられるほど美味しい」と語る表情はとても印象的でした。
漁師さんや料理人との試行錯誤、餌の改良、脂の乗りの研究など、
サバへの思い入れが深く伝わってきます。
ソウルフードには 「元祖たかせの瓦そば」 を挙げられました。
ご家族とホットプレートで焼いて食べる時間も、
日常の幸せとして刻まれているそうです。
荒川典子さんは、
「野菜と魚がいちばん好きです」と話してくださり、
特に“ここで育ったひらめ”は思い入れのある味だと語られました。
お子さんたちは小さな頃からセンターの魚を食べて育っており、
「ほかの魚では満足しないこともあります」と笑顔で話される姿が印象的でした。
また、お二人がすすめる“下松市の景色”では、
国民宿舎大城から眺める夕日 や、
笠戸島の夕日岬から見る夕日 ,センターの入り口から見る朝日が挙がりました。
日常の中で海と寄り添いながら暮らすお二人の言葉は、
どれも海への敬意や愛情に満ちています。
最後に、休日の過ごし方を伺うと、
旗手さんは “温泉めぐり”、
荒川さんは “お孫さんや家族と過ごす時間” と答えてくださいました。
働く人の温かさと誠実さが、そのまま下松市の水産の魅力につながっていると感じます。

③中村店長の「山口直送!トリビアな話」

■トリビア①
「笠戸ひらめは“緑の光”で育つ。」
ひらめきパークの養殖水槽が“緑色に光っている”のには理由があります。
ヒラメは 緑のLEDを浴びると食欲が増し、成長スピードが上がる という研究結果があり
笠戸ひらめはこの技術により、全国でも珍しい “肉厚のヒラメ” に育ちます。
静かな魚のイメージとは裏腹に、
緑の光でスイッチが入り、餌の時間になると水面が揺れるほどの迫力。
技術と海の相性が生んだ“下松ならでは”の育て方です。



■トリビア②
「笠戸ひらめの餌には“萩の夏みかん”が入っている。」
下松市のひらめは餌にも「山口らしさ」が詰まっています。
萩の 夏みかん果汁 を混ぜることで、
魚特有の臭みが抑えられ、鮮度の持ちも良くなるという効果があります。
専門家が食べ比べると、
「ほんのり夏みかんの香りがする」
と言われるほど。
“地元の柑橘で魚の味を整える”というのは実に身土不二的な発想です。
■トリビア③
「笠戸のさばは“レモン×酒粕”で刺身でも食べられる。」
笠戸のさば・あじは、笠戸島の レモン と、
下松唯一の酒蔵・金分銅酒造の 酒粕 を餌に使用。
青魚特有のクセが驚くほど薄れ、身の透明感が長持ちします。
その品質はプロのお墨付き。
刺身で食べられるさばは希少で、笠戸の海と技術が生んだ “ご当地の宝” です。
■トリビア④
「笠戸の海で、とらふぐが“2kg”まで育つ秘密がある。」
全国的に1kg前後が一般的な養殖とらふぐですが、
下松では 約10年かけて“2kgに育つ技術” が開発されました。
ポイントは、
・餌の改良
・笠戸の海流と水温に合わせた育て方の積み重ね。
餌には米川の柚子の果汁と周南市・はつもみぢの酒粕が混ぜられており、これにより身の色が良くなるなどの効果が期待されています。
同じ期間で「倍の大きさ」に育つ河豚は、全国でも極めて珍しい存在です。
笠戸のとらふぐが注目される理由は、まさにこの研究にあります。
■トリビア⑤
「猫職員は“本当に仕事をしている”。」
ひらめきパークの猫職員たちは、ただのマスコットではありません。
実は、
- 海側の猫 → 鳥を追い払う“海上部門”
- 陸側の猫 → ネズミを寄せつけない“陸上部門”
という、れっきとした役割があります。
その働きぶりがテレビで紹介され、全国的に知られる存在に。
今では、猫をきっかけに施設を訪れる人も多く、
“猫から始まる水産教育”というユニークな構造が生まれています。
■トリビア⑥
山口県の海は“栽培漁業センター”で守られている。
山口県には、県内各地に 複数の栽培漁業センター が存在しています。
これらの施設が担っているのは、海の資源を未来へつなぐための大切な循環です。
■①種苗生産
ヒラメやマコガレイなど、卵から稚魚をつくる段階。
自然界では0.001%しか生き残れない命を、人の技術で守ります。
■②中間育成
県センターから届く稚魚を、海に出せる5cm前後のサイズに育てる工程。
魚種に合わせて餌・水質・温度を調整し、健康な状態へ仕上げます。
■③種苗放流
漁協と連携し、適した海域へ稚魚を返す作業。
放流後に漁獲量が増えるなど、地域の漁業の安定につながっています。
この 「つくる→育てる→海へ返す」 サイクルがあるからこそ、
山口県の海は未来に向かって持続可能であり続けます。
下松市栽培漁業センターもその一つで、
ヒラメ・マコガレイ・トラフグ・オニオコゼ・アイナメなど、多くの魚種の資源回復に貢献しています。
山口の海は、自然任せではなく“人の技術で支えられている”。
この事実こそ、まさに知ると誰かに話したくなる“山口直送トリビア”です。

「笠戸ひらめ(丸ごと一匹)」を3名様にプレゼント!
下松市栽培漁業センターさんより素敵なプレゼントを頂きました。
下松市が誇るブランド魚・笠戸ひらめ を、今回は“丸ごと一匹”でお届けします。
せっかくなら――
「食べるだけじゃなく、裁くところから愉しんでみませんか?」
笠戸ひらめは、身が厚くて扱いやすいのが特徴です。
下松市栽培漁業センターが丁寧に育てた一匹は、
家でさばくと、驚くほど“弾むような身質”が包丁越しに伝わってきます。
しかも今回のプレゼントには、
センター職員直伝の 「笠戸ひらめのさばき方」 のリーフレット付き。
1つずつ手順を追いながら、
自分の手でひらめを“料理に変えていく体験”は、
まるで人気番組の料理人になったような気分です。
お造り、薄造り、カルパッチョ、ムニエル、フライ……
どの食べ方でも笠戸ひらめの甘みとコリっとした食感が際立ちます。
下松の海が育てた“一匹のひらめ”を、
まるごと味わう贅沢をぜひご家庭で。

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